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日本式高専設立理由

モンゴルに日本式高専の創設を支援する理由     2009.11.20

                                           モンゴル高専支援の会会長 藤田安彦

 

(1)日本の復興と発展の要因

1945年、敗戦によって廃墟と化した日本は、その年から1951年迄、その政治、外交、教育、経済、文化等あらゆる国家活動と国民生活は、連合国(GHQ)の占領・統制化下にあった。この敗戦を起点として、日本人は軍国主義から180度転換した民主主義の近代国家建設に立ち上がった。

特に、日本政府は国家建設の国是として、科学技術に基づく、ものづくり工業立国を目指した。この担い手を養成するために、政府は大学工学部や工業高等専門学校(高専)の新設(昭和36年)を行い、実践的技術者を育成する、ものづくり工学教育の充実・拡充に努めた。この結果、ものづくり工業立国としての基盤が19601970年代に構築され、1980年代後半には自動車、家電、エレクトロ二クス分野を中心とした世界第2位の経済大国に成長した。

このような日本の復興と発展を遂げた要因は、次のように考えられる。

①復興・発展という国家目標に向かって、国民が一致団結してあらゆる国家活動に邁進したこと。これは勤勉・真面目・誠実といった日本民族の固有特性に起因するところ大である。しかしながら、

19451950年代に、連合国による経済的・社会的基盤の構築という救済・支援行為がなかったならば、決して日本の復興も発展も実現しなかったであろう。

  私は、連合国構成員(主に米国人)の有する寛大・友愛・相互扶助精神に基づく、この「救済支援行為」を「恩義」として忘れることができない。

民族・文化・伝統・イデオロギーの違いを乗り越えて米国人は、敗戦で全てを失い路頭に迷う敵国日本人を救済したのである。これはキリスト教精神に基づく素晴らしい人道行為といえる。

この恩義に報いること(報恩)が、人間としての努めであり、また日本人の「武士道精神である。

 

(2)モンゴルの発展を担うものづくり実践的技術者を育成する日本式高専の創設を支援する理由

   上述の通り、我々日本人が連合国の救済・支援行為を受けたように、今、苦境に置かれ、あるいは課題を抱える民族国家があるならば、その苦境や課題を解決するように可能な限り協力・支援することが我々日本人の「武士道精神」なのである。これが我々が受けた「恩義」に対する「報恩」に通じるのである。

   ものづくり製造業の振興によるモンゴルの発展には、日本が上記史実として経験したように、ものづくりの実践的技術者の育成が極めて肝要である。日本の工業高等専門学校(高専)の教育制度は、19601990年代の工業立国構築の牽引者となった、ものづくり実践的技術者の育成において、唯一成功した「高等教育システム」である。この「日本の高専教育」の実績と経験に基づき、

モンゴルの国策である“ものづくり実践的技術者の育成”という「課題」に対して、我々支援の会が日本式高専の創設を提案し、それを支援することは日本人の「報恩」に通じるのである

また、モンゴルから日本の高専に留学し、大学院進学や起業で活躍している有為な青年達(コウセンクラブ)が、母国モンゴルに日本式高専を創設し、母国の工業立国への発展に貢献したいと言う“崇高な願望”に応えることが、両国の信頼関係と相互発展を図る上で必須なのである

 

以上が、モンゴルに日本式高専の創設を支援する理由である。私は、日本の大学や高専の創設や教育改革に従事した経験に基づき、支援の会のまとめ役としてモンゴル高専の創設に尽力したいと考えている。

   我々日本人は、蒙古斑点をもつことから、特にモンゴル民族と親近感を覚えている。今回の日本式高専の創設を契機に両国の教員交流や青少年のものづくり教育交流を推進し、21世紀の世界平和と環境調和型社会を目指す新しい国際モデルとして、両国の相互扶助・信頼関係を一緒に構築したいと願っている。その橋渡し役を、我々モンゴル高専支援の会が果たせれば、望外の喜びである