武田三夫先生が「モンゴル高専」で木工技術を指導
都立産業技術高専「ものづくり教室」講師武田三夫先生が、2015年5月16日から6月1日までSPFの支援により短期派遣教師として「モンゴル高専」へ赴き、モデルクラスの学生達に日本の木工技術の実習授業を行われました。
モンゴルには、観光土産の一つに木工品が挙げられるほど、優れた伝統的木工技術が存在しますが、現実には、建物のドアの立てつけには隙間がみられるなど、技術面で多くの課題があります。使用している工具も優れた西洋製等を用いてはいますが、例えば、そのノミも刃の裏側に「くぼみ」がないことから、深い穴を掘削できません。
この様なモンゴルの実情を踏まえて、武田先生は日本から「ノミ」や「カンナ」「差し金」「墨壺」「砥石」など、日本式工具を持参し、日本式木工・建築技術を建設学科の学生達に教授されました。
これからモンゴルでも、日本の優れた木工・建築技術による木工製品や木造建物が作られるようになるのを期待したいものです。現在、JICAプランにより、日本の木造プレハブ住宅メーカーがモンゴルへ進出する動きもあります。「モンゴル高専」を卒業したら、武田先生から学んだ知識・技術を生かし、活躍できる場も広がりそうです。
①武田先生の講義。テーブルには、日本式の「ノミ」や「墨壺」が見えます。
②IETの先生(右)にも、日本から持ち込んだ「砥石」でノミの研ぎ方等を教育指導されました。モンゴルには
「砥石」というものはありません。
③作業場へ集成材の板を搬入し、「本棚」の製作に取り掛かります。
指導される武田先生(左端)。西山先生(左から3人目)もお手伝い。
④武田先生が日本から持って来た「差し金」を使って寸法を取る
⑤平らな板を切断するための準備作業
⑥電動丸鋸で板を切断
⑦三枚に切断
⑧鉛筆を耳に挟んだ恰好は、日本でも見かける木工・大工職人の姿絵。既に職人になり切った ( ? )
⑨ノミを使って切断面を凸に加工
⑩完成した「本棚」に寄り掛かって記念撮影。本棚はピクリともしません。
(因みに、武田先生のご自宅は、先生お一人で建てられたとのこと)
⑪モンゴルで使われている「ノミ」です。これでは、ノミの刃の長さ分の深さしか、掘り進むことができません。
日本のノミは、刃先は短くても刃の裏側に「くぼみ」があるので深く掘り進めます。
⑫ガントゥムル教育科学大臣(右)にご挨拶。
チンギスハーン広場で開催されていた催し物「モンゴルゲルプロジェクト」の会場に設置されたゲルの中で
面談。
中央が武田先生、左はIETセルゲレン総長。
⑬日本式工具で作った整理棚。そこには、その工具が納められていました。
黒板には『さようなら たけだ』と書いてあります。
⑭感謝の夕食会の後で(前列中央武田先生、右隣はモンゴル高専副校長ムンフバヤル先生)
以上